ベヨネッタが海外の大会で禁止キャラに

※この記事はVer.1.1.6以前のベヨネッタについての記事です。現在はアップデートにより、性能が大きく変更されています。現Ver.については下記の記事に書かれていますのでそちらを参照にして下さい。

『ベヨネッタのアップデート感(Ver.1.1.6)』


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スペインの大会でベヨネッタが禁止キャラになって物議を醸している

ソースはこちら

理由は単純に強すぎると言うことと、プレイヤー人口の減少に繋がりかねないというのが主な理由だそうだ。
他の国のトッププレイヤーや大会主催者とも意見を出し合い賛成意見が出たり、またその中にはトップレベルのベヨネッタ使いですら禁止に賛成している人もいるらしい。

この手の話題が盛り上がらない訳がなく、スマブラ界ではこの話題で持ち切りだ。禁止に賛成の意見、禁止に反対の意見、どちらの意見でも無く自分の考えを言ったりなどなど…、実に様々な話が飛び交っている状態だ。

そこで、今回は筆者がベヨネッタが何故、海外の大会で禁止になったのかを、記載していこうと思う。ただし、予め言っておくが、

筆者はベヨネッタの存在を否定しているわけでもないし、嫌っているわけでも無い。

ただ、禁止キャラになってしまったことに対して、考えられる理由を出来る限り客観的に話そうとしているだけであるので、そこは理解していただきたい。

それでは解説を初めていこう。

ベヨネッタはスマブラをやっていない

彼女の性能から、筆者が感じたことだ。いくつかあるので、まとめていくことにする。

  • 上Bや横Bなど空中の軌道を大きく変える技が何度も使える点
    (各種最大2回まで。複合して使えるので、実質4回相当)

基本的に下方向以外で、空中の軌道を大きく変える必殺技は復帰性能に直結するため、一度しか使えなかったり、尻もち落下となる場合が多い。復帰技で尻もち落下にならない技も最近は増えてきたが、それを何度も使えると言うキャラは殆ど存在しない。
そしてベヨネッタは何度も空中の軌道を必殺技で大きく変えることが出来て、なおかつ尻もち落下にならない。これにより空中での圧倒的な自由度・機動力が実現する。彼女がスマブラらしからぬ動きに見えるのは、仕方のないことだと言えよう。

使用方法には若干癖があり、使いこなすまで復帰や拒否に難渋するケースも存在するが、使い方を理解して慣れることで十分解決出来る程度のものである。

上B横Bを使いすぎた後に着地硬直がしっかり出るだろうという意見を出す人もいるが、これだけ空中で好き勝手に動き回って、その後は尻もち落下にすらならないのだから、尻もち落下してしまうキャラと比べたら些細な問題であろう。それらのキャラと比べればいくらでも調整、誤魔化しが効いてしまう。これではXメタナイトが上B使用後には強制的に滑空になってしまって自由が効かないと言っているのと、ほぼ同意見となってしまうだろう。

あまりにも高火力なコンボ、即死コンボの存在

恐らく、禁止に関する最も大きな理由の一つであろう。高火力コンボ事態は決して悪では無いし、それを開拓することは美学とも言えるほどに素晴らしいものではあるが、彼女は即死コンボまで持っていけるケース、派生技が余りにも多く、そして余りにもお手軽であった。
さらに最大の問題点として以下のことが言える。
超ハイリターンであるのに、それに対しリスクが圧倒的に少ない
これに尽きるであろう。
例えば、ベヨネッタの上B。これは発生4Fで出すことができ、そこから超高火力コンボや即死コンボに持っていけるパターンも存在する。それなのに、上B後は空振ったりガードされたりしても、空中ジャンプでキャンセルしてその後に横B等で逃げることも可能。横Bでの逃げは読めれば狩ることも出来なくは無いが、足が早くなければ狩るのは難しいだろう。圧倒的なリターンを誇るのに、後隙のフォローがこれでもかと言うほど可能。スマブラの基礎を覆す可能性は十分にあると考えられる。

超性能カウンター技、下B(ウィッチタイム)の存在

基本的にスマブラのカウンター技は、カウンターで受けた技の威力を増して相手に返すというものが殆どだ。よって、相手の大技を狙わないとまともなリターンは取れないし、カウンターでリターンを取りたければ、スマッシュなどの威力の高い技を適格に読む必要がある。

しかしウィッチタイムは違う。どんな技であろうと、引っかかればアイテムのタイマーのように相手の動きを遅くさせるという性質上、隙も小さく威力も殆ど無い牽制技であったとしても、引っかかってしまえば最後、ベヨネッタの圧倒的リターンがそこには待っている。
これだけリターンがあるのに、硬直は驚くほど少ない。他のキャラのカウンター技は、読まれると大きな隙を晒し、撃墜されかねないハイリスクな技であるのだが、ウィッチタイムはこの手のカウンター技と比べると圧倒的にリスクが少ない。

あれ?同じこと前にも言ったような…。そう、上記の高火力コンボで述べたことと大体同じことを言っている。このようにリスクリターンが余りにも釣り合っていないと、別のゲームを一人だけやっているのでは無いかと錯覚する。これこそ、彼女がスマブラをやっていないと筆者が考えている理由である。

即死コンボを始めとした性能にヘイトが集まっている

ベヨネッタの即死コンボは、ヒットストップずらし・吹っ飛びベクトル変更(以下、ずらし等と略す)で対応できる状況が多い。もちろん、ベヨネッタ側もずらし等に対応した選択肢を用意する場合があるので一筋縄では行かないが、それでもずらし等が出来るのと出来ないのとでは全く違ってくる。

しかし、これもまた問題点であろう。つまり、「ベヨネッタと戦いたければ、ずらし等の対策をしっかり理解しろ。そうでなければ同じゲームの土俵に立つ権利はない」…と言っているのも同然なのだから。

前回、筆者は、基礎を疎かにして対策を立てても、勝つことは難しいと述べさせていただいたが、今回のケースではそれが引っくり返ってしまっている。
ベヨネッタとまともに戦いたければ、コンボの派生技やずらし等を、まずは理解して対策を立てないと行けないのだ。この時点で少なくとも筆者が述べた基礎というものが覆ってしまっているのである。

上級者など、スマブラをやり込んでいるプレイヤーであれば、その中には対策を立てればいいだけだ。それすらやらずに愚痴をこぼすのは甘えだと考えている人も少なからずいるだろう。だがしかし考えてみて欲しい。それはプレイヤー人口で考えれば、上級者、所謂頂点に近いプレイヤーよりも、初心者・中級者が人口で言えば圧倒的に多いと言うことだ。

その人達で、ベヨネッタの対策・ずらし等をしっかり出来ている人は恐らく僅かであろう。よって、その人達がベヨネッタと対峙してしまった場合、上記のローリスク超ハイリターンな各種技の餌食となるケースが頻発する。それこそ本当に為すすべなく殺されるわけだ。例え基礎が確立できている上級者だとしても、ベヨネッタの対策やずらし等を知らなければ同様に為すすべなく殺されることであろう。後隙も少なくてどうやって狩れば良いのかすら分からず、そのことに対して理不尽と感じてしまってもある種仕方がないと筆者は思っている。

また、プレイヤー人口は、そのゲームの発展・衰退に大きく影響する。大会側はゲームの界隈を発展させる為に、プレイヤー人口が減らないように配慮する・考えるというのは当然と言えるわけで…。だから、対策をすればいい、してない人が悪いという考えでは、初心者達をないがしろにしていると言わざるを得ない。プレイヤーのヒエラルキー(ピラミッド層)視点で捉えてみると分かるが、上層の界隈ばかりを見て、下層・中層の界隈を考慮しないと、それは一番厚い層が崩れてしまうことを意味する。そうなればピラミッドの上層の部分が崩れるのも時間の問題であろう。何故なら下層は界隈を一番支えている土台であるのだから。その土台が崩れてしまうと、全てが瓦解すると言う点は、筆者が述べた基礎の部分と共通していると言えるかもしれない。

他の世代のキャラが何故、禁止にならなかったか

何故ベヨネッタだけが禁止なのか。他のキャラで、強すぎるはずなのに禁止になっていないキャラがいるのは何故だと考えている人もたくさんいるだろう。
そこで、前作のキャラではあるがスマブラXのメタナイトとアイスクライマーを持ち出して話を進めよう。

彼らは、キャラ性能インフレと言われているスマブラXの中でも特に抜きん出た性能・理不尽さを合わせ持っていたキャラクターであり、それが何故禁止でないのか疑問に感じた人は少なからずいることであろう。

何故、他のキャラは大丈夫だったのか。スマブラXのメタナイトとアイスクライマーに焦点を当てて、筆者が考えられる理由を、これから説明していこう。

スマブラXのメタナイト

彼の圧倒的性能は言うまでも無いからここでは割愛させていただく(知らない人はWiki等で調べたり対戦動画見て欲しい)が、彼が禁止にならなかった理由は以下の様なことが考えられるからだ。
彼も勝つためにはスマブラの基礎が欠かせなかった。

Xメタナイトは即死コンボを殆ど所持していなかった為、コンボが基本的に存在しないスマブラXでは、勝つためには、ガード等の防御の理解、攻撃の刺し合い、間合い管理、浮かした後・浮かされた後の状況把握、相手の返し手への理解、読み合い、復帰阻止…などなど。筆者が必要と考えている、これらの基礎をしっかり理解していなければ、勝つことは難しいし、メタナイトを使ったのに、熟練の弱キャラ使いにあっさりやられたケースも多かったはずだ。

事実、メタナイトにキャラ変えしたら更に勝てなくなったという人もいた。最強キャラであるので、対策のされ具合も一番と言っていいだろう。

基礎が成立していなければ、熟練者の基礎力と対策量の前に勝てなくなるのも自然なことと言える。よって、圧倒的性能を遺憾なく発揮するためには基礎が必要不可欠であり、そういう意味では彼は立派にスマブラをしていた。だからこそ彼は禁止キャラにはならなかったのであろう(崖待ちやダブルメタナイトチームは数少ない例外であった。余りにも理不尽で圧倒的な強さ、基礎の根底が覆える危険性が存在していたのだ。それによってプレイヤー人口が減りかねないので、後に大会で制限・禁止となっている)

スマブラXのアイスクライマー

Xメタナイトと違い、彼らは即死を持っている。基本コンボが存在しない世界で、即死を決めるその様は「一人だけトレモをしている、別のゲームとやっている」と言われる程のものだ。それでも彼らが禁止になることは無かった。
即死へ持って行くまでには基礎がやはり不可欠で、全キャラに即死を安定させるのが非常に難しく、即死へ派生させるパターンも限られていた
アイスクライマーが即死させるためには必ず『掴む』必要がある。つまり、掴まれさえしなければ即死にはならないと言うことであるので、初心者も含めて対処法は大変分かりやすい。
アイスクライマーは掴みの間合いが非常に狭いので、掴むのに苦労するしそこに至るまでの駆け引きがある。そして、相方の存在から防御面は非常に不安定であり、吹っ飛ばされてバラバラになった相方をフォローする必要性もあった。

また、ステージによりその強さは大きく変わる不安定さも弱点であると言える。終点ではメタナイトを超えかねない圧倒的な強さを誇るが、(海外で特に多い)その他多数のステージでその性能を発揮することが難しく、その点でも大きな弱点だ。事実、ステージ拒否権があるルールの場合、一部例外を除いてアイスクライマー相手には、まず終点が拒否されていたのだ。

このように、一面だけで見ればベヨネッタと同等の理不尽極まりない性能を持つが、即死に至るまでの過程が誰でも明確に分かり、なおかつ大きな弱点を持っていた。そしてキャラごとに投げのタイミングが違ってくるので、その都度タイミングやレシピを変える必要があり、即死を安定させることが非常に難しかった。これらの要素があったため、ある意味高火力コンボの華を最低限持っていたと言っても良いかもしれない。高火力コンボが賞賛される重要な要因として、そこに至るまでの難しさとコンボの完走難易度は欠かせない要素だと筆者は考えている。プレイヤーによるコンボの開拓や完走させるための執念、そしてそれらの敷居を乗り越えた先に見えるカタルシスがあったからこそ、アイスクライマーの投げ即死が許容されたと言っても良いだろう(プレイヤーの中には、それでも許容出来ない人がいたが、大会で禁止になったことは無い)。これがベヨネッタの即死コンボとの明確な違いであると筆者は考えている。

以上で、筆者の解説を終わらせていただく。物議を醸し出すほどの圧倒的な性能を前に、今後スマブラの界隈がどうなっていくのか、アップデートによるバランス調整がどのようになっていくのかは見ものであると言えるだろう。

この記事で、少しでも今回の騒動が納得できる、理解できるものになって頂ければこの上なく幸いである。
人それぞれ考えは違ってくるが、そのような結論に至るまでには、理由が必ずあると考えると、視野が広がることにも繋がってくる。今回の禁止騒動で口論となった場合に、もう一度振り返ってみて欲しい。お互いに相手の事を考え、振り返ることで、双方が納得の行く結末を迎えることがきっとできるはずだ。

コメント

  1. ジュ より:

    ベヨネッタ対策をきちんとしないとローリスク即死コンボの餌食になるのはわかりましたが、
    ここが初心者中級者に向けたブログなのであれば、
    具体的なベヨネッタ対策も一緒に書いてほしいと思いました
    ずらし、ベクトルの変更? 何を言っているのか…
    のちのち、別の記事でそういった用語やベヨネッタ対策の解説が載ることに期待しています

    • サウザー より:

      ずらし、ベクトル変更の記事に関しましては、スマブラの基礎に大きく関わる話ですので、近いうちに記事を投稿したいと考えています。
      ベヨネッタ対策に関しては、現時点では記事作成に消極的な考えです。理由は主に二つあります。一つ目にアップデートによる調整で対策記事の内容が無価値になってしまうこと。そして二つ目は、筆者がベヨネッタの知識・対策に乏しいことです。ベヨネッタ対策は、現ver.であれば、スマブラの基礎と同等かそれ以上の優先度があることは理解しているのですが、キャラ対策については、他の攻略サイトを参考にしたり、有力な使い手に質問する方が、内容も充実していて確実であると考えています。
      ただし、現時点での考えのため、今後考えが変わるかもしれません。

  2. ろぱひひーん より:

    とても分かり易い解説記事ありがとうございます。腑に落ちました。今後とも応援しております。

    • サウザー より:

      腑に落ちていただけたのならば幸いです。もし禁止の是非で口論となる場合は、この記事が役に立つことができれば…と思います。
      応援ありがとうございます!

  3. Dr.K より:

    はじめまして。いつも更新を楽しみにしています。サウザーさんのスマブラに対する深い理解と、なかなか一般化しにくいそれらの概念を言語化する力量に感服しています。

    何を禁止するかについては、難しいところですが、禁止すべきか禁止すべきでないかの境界線について、下記のサイトにスパ2Xの示唆的な記事があります。
    http://spa-game.com/?p=2236
    スマブラの禁止事項について議論する際の一例になるかと思いますので、興味あればご覧下さい。

    強いとか弱いとか、自分が勝てるとか勝てないという話ではなく、ゲームの寿命を延ばすことが重要であるという視点で考えられるプレイヤーはごくわずかですので、サウザーさんのより一層の活躍を期待しております。

    • サウザー より:

      賞賛していただき大変光栄です。
      スパ2Xの記事、見させていただきました。非常に深い内容で、考えさせられるものがありました。
      スマブラの禁止に関する是非でも参考になりそうな記事でしたね。
      プレイヤー人口は、対戦ゲーム等の対戦相手がいないと成立しないゲームであるならば、意識する必要が高いと思っていますので、今後もこのことに何度か触れるつもりであります。

  4. とあるスマブラー より:

    初心者・中級者を蔑ろにしてはならないというのはとても思います。
    「じゃあお前もベヨネッタ使えばいいじゃん」「勝てないのは下手なだけ」とか言う人は何も分かっていない。

    • サウザー より:

      初心者達を蔑ろにしないことは本当に大事です。
      このブログは、それをいつまでも貫き通したい所存です。

  5. とぐろ より:

    リスクリターンが全く釣り合わないキャラなんですね

  6. とあるスマブラー より:

    ガノン使いだけどべヨは遠距離で銃乱射されてるだけできついあれだけで一定距離以上近寄れなくなる

  7. チンパンジー より:

    ベヨは対策してない方が悪いが理不尽な強さでどこの大会みても大部分がベヨが優勝してるから別にベヨ禁止は良いこととはいえないが悪くはないとおもう

  8. Miiファイター愛好家 より:

    ベヨネッタはバランスが崩れている。修正は必須だと思う。修正が無いから禁止はあってもいい。コンボ性能は異常。強すぎる。

  9. 蒲鉾 より:

    全く詳しくないですが、逆にベヨネッタしか使用してはいけない大会も開いては?笑

  10. とあるスマブラー より:

    メタナイトが基礎を要求されるのであれば、それ以上にXのスネークは基礎を要求されますか?(それ以外の弱キャラなども)

  11. 山田愛奈 より:

    スマブラエックス
    のメタナイトは何で中止キャラじゃなかったの?