ベクトル変更とヒットストップずらし

今回は、「ベクトル変更とヒットストップずらし」、この2つを取り上げていこう。初心者はおろか、上級者でも間違えやすい用語であるため、まずは意味をしっかり理解するところから始めよう。
(2つとも『ずらし』と言ってしまって混同・混乱するケースがある)。

まずは、それぞれの用語の意味を振り返ってみよう。

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ベクトル変更

「ベクトル」とは、ラテン語の「運ぶ」という意味がある。このことから、空間における大きさと向きを持った量ということであり、数学等に利用されている用語。

…であるのだが、難しくて意味が分からない人も多いだろう。簡単に言うと、「物事が向かう方向とその力の強さ」を指す。

スマブラでのベクトルはもっと簡単な意味で、単に「吹っ飛ばす方向」の事を指している。

スマブラは、スティックの入力角度により、ベクトルを変更することが出来る。これを「ベクトル変更」と言われている。スマブラのベクトル変更は、吹っ飛ぶ角度を変えることが出来るため、吹っ飛ぶ強さが同じ場合、吹っ飛ぶ角度を上へ(高く)入力することで、横方向へ撃墜されにくくなるし、吹っ飛ぶ角度を下へ(低く)入力することで上へ撃墜されにくくなる。

それぞれ適確にベクトル変更を行うことで、撃墜されにくくなったり、コンボを繋ぎにくくすることが出来る。図解したらさらに分かりやすいので、図でも解説していこう。

  • 赤と黄色の矢印はスティックの入力方向を指している。吹っ飛ぶ方向と直角(90°)に入力することで、ベクトルを最大限に変更することが可能。

ベク変前

  • 下図はベクトル変更入力後。技によって変更できるベクトルの範囲は違ってくる。

ベク変入力後

少しでも撃墜されにくくするためには、スマブラDXとXでは吹っ飛ぶ角度と直角となるように、入力するのが常であった(64はベクトル変更が存在しない)。しかし、スマブラforでは、直角にすれば良いとは限らない。何故なら、スマブラforのベクトル変更には、上方向に入力すると吹っ飛び力が上がってしまう仕様の技がいくつか存在するためである。
この仕様の技に対して、直角に入力するだけでは、上方向の入力成分が入ってしまい、吹っ飛び力が上がる場合があり、最大緩和の変更になるとは限らないのである。これらの技を全て理解するのは困難なため、筆者が実際にやっている、吹っ飛び緩和目的のベクトル変更は下図の通りだ。

  • 吹っ飛ぶ方向から、反対の方向(真横)にスティック入力をすることで、吹っ飛び力増強の成分は絶対に入らない。ベストとは言えないかもしれないが、ベターな選択肢と言える。

ベク変緩和

ちなみに、上方向に吹っ飛ばす技であれば、例え直角に入力しても、上方向の入力成分は入らないため、遠慮無く直角にベクトル変更の入力をしよう。

また、ベクトル変更は、撃墜されにくくするだけでなく、コンボを繋ぎにくくするメリットもある。例え確定であっても、相手のベクトル変更を見てからコンボを繋げることが困難な場合は多い。ベクトル変更の選択肢を多数用意することで、例えばベヨネッタ相手に即死を頻発されるケースは激減する。そういう意味でも、ベクトル変更は重要であると言えよう。

ヒットストップずらし

まずはヒットストップについて説明しないと行けないだろう。ヒットストップとは、攻撃が当たった瞬間(※ガード時含む)にキャラがストップする現象のことである。このヒットストップの最中にスティックを弾き入力することにより、弾いた方向へヒットストップの期間だけずらすことが出来る。
※ガード時のヒットストップは、厳密にはガードストップと言うが、原理は同じ。

ただし、このヒットストップ、弾き入力を1回した程度では、大してずらすことは出来ないため、効果をしっかり出すためには何度も弾き入力を素早くしないと行けない。

その代表的な入力方法が「半月ずらし」と言われている。

半月ずらしは、ずらしたい方向にスティックを180°分(ちょうど半月の形)の範囲繰り返し入力する方法のこと。参考動画を見るのが分かりやすいので載せておく。動画みたいに半月ずらしを入力する方法は、プレイヤーによりけりだ。

  • 参考動画は64コントローラーであるが、やり方は全く一緒。

しかし、このヒットストップずらし、スマブラXまでは重要な防御テクニックの一つであったが、余りにもずらしでやり過ぎたのか、スマブラforではずらせる範囲が、他の世代より大きく減っている。

簡単に言うと、スマブラDXやXでは、大きくずらすと、攻撃を当てたのに反撃確定となるようなケースを作り出すことすら可能。何度もヒットストップを行う権利がある多段技は、それだけ大きくずらされやすいと言うことを意味するので、多段技なだけで技の評価が下がる要因となっていた。ただし、極一部の技は除く(Xメタの竜巻やXマルスの先端当てヒットストップ等)。

この反省点からか、スマブラforではヒットストップずらしをしても、技が最後まで当たってしまうことが多くなった。ヒットストップがあまり意味を成さないケースも出てきたと言える。
結論として、ベクトル変更とヒットストップずらしの重要度で比較すると、ベクトル変更の方が重要であるといえる。

ヒットストップずらしが例外的に有効なのが、リュウの技のヒットストップで彼のヒットストップは特殊で、ヒットストップずらしが大きく可能。上弱など、様々なコンボが入ってガーキャン掴みも反確でない強力な技に対する一種の調整とも言えるかもしれないが、とにかく対リュウは例外的にヒットストップずらしが重要となるので、上弱が確定してしまう場合等は、ヒットストップずらしを頑張って入力する必要があるだろう。そうでなければ、昇竜拳の餌食となること請け合いである。

以上でベクトル変更とヒットストップずらしの解説を終わらせていただく。特にベクトル変更は重要なことなので、相手の技に合わせて適確にベクトル変更が出来るようになろう。撃墜されにくくしたり、相手のコンボ火力を下げるためにも押さえておきたい事項で、基礎の大事な要素の一つだと言える。

コメント

  1. とあるスマブラー より:

    お疲れ様です。
    記事中の「適格」は「的確」もしくは「適確」ではないでしょうか?

  2. ジュ より:

    記事作成お疲れ様です。
    前回のベヨネッタ禁止の記事で、ベクトル変更やずらしについて質問した者です。
    自分のためだけでないとはわかりつつも、早くも
    図解や動画つきでとても分かりやすい記事まで作っていただいて、
    本当にうれしく思っております。
    用語集なる記事のほうも作成されるとのことで、今後も楽しみに閲覧させていただきます。

    • サウザー より:

      用語集は、現時点では不足だらけであることは間違いないので、更新でより充実させられたらと思っています。
      ベクトル変更やずらしは、前々から記事で解説しようと思っていたし、他の人からも解説しないのかと言われたことがあったので今回のを機に作成しようと思った次第です。
      今後も楽しみにしていただくようにより一層頑張っていきたいと思います!

  3. とあるスマブラー より:

    大変わかりやすい解説でした。
    forにおけるベクトル変更の解説に「スティク」とありますが、「スティック」の誤字と思われます。