プロゲーマーも立派なアスリート
ゲームに真剣に取り組み、報酬を得て生計を立てているプロゲーマー。
彼らは大会で勝ち進み賞金を獲得したり、スポンサーと契約して報酬を得ている。競技人口も増えつつあるゲームの世界で最後まで勝ち残ることは、並大抵ではない苦難がそこにはあるはずだ。プレイヤー(選手)たちは、来るべき大会に備えて、必死に練習をする。しかし、その努力の結果がなかなか報われなかったり、実力の伸びが停滞(プラトー)してしまったり、寧ろ低下してしまったり(スランプ)することも時にはあるだろう。特に競技性の高いゲームであれば、強く該当する。
プラトーやスランプを目の当たりにし、挫折を味わったゲーマーも多いはずだ。
そんな非常に厳しい競争の中で生き残ることを強いられるこの世界は、アスリートと何ら変わりないのではなかろうか。数々の試合で大逆転劇と呼ばれるような奇跡的な試合を目の当たりにして感動を覚えることもあれば、観客と一緒になって熱狂して盛り上がっていくこともある。その世界はアスリートであればゲーム系であろうと体育系であろうと関係なく当てはまるはずだ。
「eスポーツ(electronic sports)」という名称が現れ、広く普及していったのがその証左だろう。
筆者自身、ゲームであろうと、真剣に取り組めば、そこはスポーツと変わりない世界であることは、間違いないと思っている。更により多くのプロゲーマーが現れ、界隈が盛り上がっていけば、どれほど素晴らしいことか。
しかし、今回は、そんな筆者の個人的な考えは置いといて、タイトル通り、プロゲーマーが日本でやっていけるかどうかということを中心に、述べさせていただこうと思う。
日本でプロゲーマーとしてやっていくのは極めて厳しい
残念ながらこれが、今の日本の現状である。
日本は、ゲームに対する風当たりが、余りにも強い。強すぎるのだ。
世間は勿論のこと、日本という国そのものからの風当たりも相当強い。ではそれが何故なのかをこれから話していこう。
ゲームは、ただの娯楽・遊びという世間の認識
- 「ゲームは一日二時間まで」
- 「テスト期間中にゲームなんてとんでもない」
- 「家でゲームばかりするのならゲームを没収します」
ゲームをしていて、上記のようなことを親に言われたことがある人は、いるのではないだろうか。
『スポーツ』と言うのは、少なくとも日本では、「身体を動かすこと(すなわち体育)」という認識が大多数という現実がある。身体を動かすことは良いことであり、「子供は外で遊ぶ者だ」という考えが根底にある。
今でこそ、若い世代を中心に、ゲームという分野でも、真剣に取り組めば、スポーツと同等の世界が広がってる(≒アスリート)という認識が広まりつつあるが、世間は、まだまだスポーツ=身体を動かすものと言う考えの人が大多数を占めているだろう。特に中高年層に対し、eスポーツをスポーツだと認めてもらうことは、相当厳しいと思われる。
ゲーム系・体育系アスリート間での決定的な知名度の差
スマブラを含むゲームの界隈が発展・充実するために必要なことは、どれだけの人が注目し、集まるのかが全てと言って良い。人が集まれば集まるほど、プレイヤーも観戦者も多くなるし、多くの人への宣伝効果が期待出来ると言うことでスポンサーもどんどん集まってくる。
界隈を発展させたいと望んでいる人が多いのは喜ばしいことである。しかし、具体的に界隈の発展に必要な事が何なのか、その本質を見落とすことがないようにしなければならないだろう。人が集まらない界隈は、衰退の一途をたどるのみなのだ。
『スマブラ界の現状と課題』という記事でも界隈の発展における人口の重要さを延べているので、まだこの記事を見ていない人はそちらも参照にしていただきたい。
さて、それではゲーム系・体育系にて、それぞれ日本・世界トップクラスのアスリートの知名度を比較してみよう。
ゲーム系でトップクラスに知名度の高いアスリートと言えば、やはり「ウメハラ(梅原大吾)」であろうか。彼はゲームに界隈に足を突っ込んでいるガチ勢であれば知らな人はいないであろう。ギネス・ブックで「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」と認定されたことは記憶に新しい。正にゲーム界きっての有名人とも言える。
しかし、「ウメハラ」クラスの有名プレイヤーであろうとも、ゲーム界に足を突っ込んでいない人からすれば、知らないと答える人が多いのではなかろうか。
ためしに、ゲーム界に足を突っ込んでいない人の家族や学校の友達、仕事の同僚や上司、彼氏彼女などの身内に「ウメハラ(ウメハラ以外のトップレベルのゲーマーでも構わない)って人知ってる?」と聞いてみると良いだろう。やはり知らないと答える人が多いのでは無かろうか。恐らく年齢層が上がれば上がるほど、認知度は下がっていくだろう。
筆者も仕事の上司に「ウメハラ」の事を尋ねると、「知らないよ、その人は。プロゲーマーは高橋名人ぐらしか分からない。」と言われた。(高橋名人は、名称そのものが株式会社ハドソンの商標登録でもあり、高橋名人自身がハドソン社の社員である(あった)。よって実質的な看板キャラポジションであるので、アスリートとは明確に違う。最も、ゲームを通して宣伝や営業活動を行い、生計を立てているプロであることもまた間違いないが)
今度は、体育系でトップクラスに知名度の高いアスリートを挙げて比較してみよう。
体育系のアスリートにも色々といるとは思うのだが、例として以下の四人をここで挙げてみることにする。
- 吉田沙保里
- 本田圭佑
- 鈴木一郎
- 浅田真央
ゲーム系の有名人を知っているかどうか尋ねた時と同じように、その界隈に足を突っ込んでいない身内に「知っているか」聞いてみると良いだろう。恐らく知らないと言う人は、かなり少ないのではなかろうか。ゲーム系のアスリートと比較すると世間の認知度は天と地程の差があるだろう。
上記4人の名前を尋ねたら、「知らない」という人を探すほうが難しいレベルではなかろうか。
彼らの日本全体での世間の認知度は恐らく80%以上、中には90%を超える人もいるだろう。
ゲーム系と体育系におけるトップアスリートの知名度差は、このように決定的だ。
何故このような比較をしたのか
では、本題に入るとしよう。
いったい何故このような比較をしたのか、疑問に思った人、このことに反論を唱える人がきっと出てくることだろう。
- 「それぞれ分野が違いすぎるのに比較すること自体ナンセンスだろ。」
- 「何故こんな当たり前のことを聞くのか。両者でこれだけの差があることは、みんな分かっているだろうに。」
- 「そもそもこうやって比較する意味が分からない。」
実際その通りであると思う。このようなことは、誰が見ても明らかだろうし、筆者もそのことを承知でこの比較を取り上げた。その理由をこれから話そう。
確かにそれぞれ分野とか、その他もろもろ違いすぎて比較する意味すら無いのかも知れない。しかし、ゲーム系であろうと、体育系であろうと、真剣に取り組む以上、そこには競技者同士の熱いバトルがあり、ドラマがある。真剣に競い合う両者に違いがないと言うのであれば、ゲーム界でのスポーツ化を謳うのであれば、すなわち「eスポーツ」というのであれば!
これだけ圧倒的認知度を誇り、その道一本で生計を立てている彼ら(体育系アスリート)の存在を見つめ直し、その理由を比較しながら考察する意義は大いにあると筆者は思うわけだ。(当然、日本にもプロゲーマー一本で生計を立てている人はいる。しかし、現在そのような人は指で数えられる程度しかいない。さらにその中の多数が、日本ではなく海外スポンサーとの契約であるのもまた事実)
「当たり前だから」という理由で、思考を放棄するべき事項ではないのではなかろうか。
実際問題、少なくとも日本では、ゲーム系より体育系アスリートの方が、認知度も観客数もプレイヤーの数も圧倒しているという現実がある。ゲーム系と体育系アスリートの日本における立場や環境の違いを考察し、その原因を突き止めることで、ゲーム界隈の発展・充実に貢献できる可能性があるのではなかろうか。
だから筆者なりに、その違いというものをこれから述べていこうと思う。
コメント
プロ格闘ゲーマーは、ほとんどが金持ちの子供だから関係ないね
ゲームばかりやれる程度に裕福な家庭であると、どうしても思われやすいですよね。
ただ、プロゲーマーがみんな、そうであるとは限らないと思います。
特にゲーム一本でやっている人は、安定した進路をあえて選択せず、頑張っているのですから。
ゲーム業界が大っぴらにされないのは、一般人の間では「スポーツは健康に良いが、ゲームは健康に悪い」という考えが広まっているためだと思います。
同じ娯楽であっても、ゲームは体を動かさない・スナック菓子と炭酸飲料ばかり食べてる≒肥満、中毒のようになって途中で止められない、などという負のイメージが強いと思われます。
そのイメージを払拭したいと努力しても、否定しきれない部分も多いので……
特に女性の支持を増やすのはかなり厳しいでしょう……
そうですね。どうしても、明るいイメージを、持たせ辛いところはあるでしょうね。
麻雀とかもそうですし、固定観念と言うのは恐ろしいものです。
自分も女性層と中高年層の支持に関しては厳しいものがあると思います。
社会的地位を上げる活動をメーカーとプレイヤーが行うことが大事だと思う
根拠の薄いゲーム叩きにちゃんと科学的検証の反論をするとか
勉強に関係ないことを示すためにも、現役大学生による大会を定期的に開催するとか
ボランティア活動を継続的に行うとか
ゲームだけやってイメージを上げたりするのは難しい
確かに、周りへの奉仕活動を行うことでイメージアップに繋がるのかもしれないですね。最も、それをしたとしても、イメージが上がるのはゲームではなく奉仕活動を行った団体だけになりそうな所が歯がゆいですね。
ゲームに負の感情を抱いている人は、理屈抜きでそうなっている印象があるので、心から動かせる様な事象が無いと、なかなかイメージは好転しなさそうな感じがします。
仕事大変な中お疲れ様です。
そう、自分も同じことを考えておりました。
格ゲーもマリカーもスマブラもイカもスポーツです。
自分もそう考えます。
だってそうでしょ?
性能や使い勝手が違う駒がいくつも用意されていて、その駒の長所を活かし、短所を補う戦略を立て、実践し、駆け引きをしながら相手に勝とうとするその様は、まさにスポーツです。
野球やサッカーと、どう違うというのでしょう?
スポーツの場合は、その「駒」、つまりはレギュラーメンバーになるためにもの凄く練習が必要になりますが(あと才能も?)………練習が必要なのは、これらゲームだって同じです。
使うのは身体全体か、頭と指だけかの違いだけです。
ゲーム機がなきゃ出来ねぇだろ?
またまた屁理屈を。
道具が必要なのは、他のスポーツだって同じです。
道具を必要としないスポーツなんて、マラソンくらいなものです。
スポーツっぽくないビリヤードでさえ、海外ではスポーツなんですよ?
スマブラはスポーツです。
勝つためには生命力が要ります。
労いのお言葉を、ありがとうございます。
SMGさんの言うとおり、野球やサッカーと変わりない世界がゲームにも存在すると思います。
勝つために必要なこと然り、道具が必要なこと然り。
しかし、大半のゲーマーでない世間の目は、ゲームに対して冷ややかなのもまた事実です。
今後の世間の目が変わって、野球やサッカーのように、ゲームがスポーツとして成り立ち、皆で応援したり熱狂したりする世界になって欲しいと心から祈っています。
サウザーさん返信ありがとうございます。
自分今日職場であれこれ言われてしまいましたが、そちらは大丈夫でしょうか?
それはそうと、確かにゲームを含めたスポーツにはどの競技も道具が必要ですが、ゲームの場合、野球やサッカーに比べると道具への依存率が高いのは否定できません。
勿論、野球には球場にグローブにバットが、サッカーにはコートとゴールが必要な訳ですが。
こっちの方は何とか大丈夫ですよ!一時期は本当に駄目かもしれないと思っていましたが、立ち直りました。
スポーツに関して言えば、サッカーはその中でも本当に道具の依存度が低いと思いますよ。ボール一つさえあれば、あとはちょっとした広場を確保してすぐ遊べますからね。野球は道具が必要なのもあってか、日本やアメリカ以外の世界では、マイナー傾向であると言われています。一方で、サッカーは世界中で普及している印象があります。このことからも道具を用意する必要性やハードルの高さは、普及率に繋がっていると言えるかもしれませんね。
スマブラに至っては、決して安くないWiiuというハードが必要なのですから。
確かに、昔日本にも蹴鞠という貴族の遊びがありましたからね。
サッカーはやりやすい遊びに違いありません。
それと道具が必要無いスポーツもう1つありました、相撲です。
スポーツと道具への依存度についてまた理屈をこねます。
逆に、モータースポーツや競馬などは、ゲーム以上に依存率が高いのではないでしょうか?
モータースポーツでは、レースマシン1台を開発するのに莫大な費用がかかるし、競馬は、馬を育てるのに膨大な手間がかかります。馬も人間同様選手である、という見方もできますが。
そしてどちらも、コースという、場への重要度が野球やサッカー以上です。
更に、道具や場を調達するのに費用も手間も膨大になる都合上、行われているのは先進国でのみです。
それなのに、これらがスポーツである、という認識はゲーム以上に高いのではないでしょうか?
やはりここは、「頭と指だけしか使わない」という、インドア気質が悪影響を及ぼしてると考えられます。
競馬はゲームとは別の意味で悪影響があります。
まぁ悪影響があるのは競馬をやってる人ではなく、見ている人ですが。
個人的にな見解になるのですが、競馬や競艇は、公営ギャンブルと言われて、国が許可している数少ないギャンブルです。国の後ろ盾があるからこそ、スポーツという認識が、まだされているのでは無いでしょうか。
また、「頭と指だけしか使わない」インドアであっても、悪影響どころか、日の目を見る競技は結構あると思います。代表的なのが、囲碁や将棋です。
これらはやはり、記事にも書いてある、歴史及び国という観点で、ゲームとは比較にならないほど優位であるのが、ゲームと違って悪く見られない要因であると管理人は思っています。
メーカーが継続して収入を得られるような形はどうなってるのでしょう
ストリートファイターやスマブラもメーカーは商品が売れてしまえば、あとは収入先細りで続編を出さないと儲からないのかな。
一つのゲームが続編出ることによって廃れていくのも流行り物なので仕方ないのですが
Eスポーツに関してはスポーツより移り変わりが早し、続編がスポーツと違って全くの別ゲーだったりしたりするので、今あるゲームをアップデートで継続し続けてくれるといいなと思いました。
ゲームメーカーが収入面でプラスとなるためには、商品(ゲームソフト)だけで無く、それに関連するコンテンツを作成し、売っていく必要があるのだと思います。
具体例を挙げると、DLCとかのような追加コンテンツや、月額制のコンテンツを作成など、売り切りだけで終わらないような物も生み出すことです。
それらをスポンサーによる宣伝という形で、顧客を獲得できればメーカーにとってもプラスとなり得るのでは?とは思っています。
ゲームが移り変わっていくのは仕方がないことですね。
今あるゲームがずっと続くというのは稀ですし、ゲームとはスポーツと違ってそういう類のものであると見なすしか無いでしょうね。
例えアップデートでずっと続こうとも、廃れたら終わりです。まぁ、メーカー側がソフト・ハードの売り切りでしか収入を得られないような構造になっているからこそ、新作を出し続けなければならないと言うのもあるでしょう。
アップデートで継続していくためには、それこそメーカー側が収入面でプラスにならないと、間違いなくメーカーそのものが持たないのだと思います。
そうか!国がゲームを作って公式になればいいんですね・・・
それが出来れば、はっきり言って、この問題の大部分が解決するのだと思いますよ。
スポーツは、国の資金面での積極なバックアップが相当なウエイトを占めているのは間違いないです。
国が公式となってくれれば、スポンサーも一緒に付いてくれる可能性が出てきますし。
兼業しないと食って行けない
世界大会で優勝経験のある選手ですら
食って行けずに窃盗で逮捕される
そんなのプロとは呼ばない