熊本地震から感じた震災時の立ち回りについて

熊本市民を始めとして、被災された皆様、心よりお見舞い申し上げます。1日でも早く復帰されることを心より願っています。
平成28年4月14日の夜に熊本県を中心として大きな地震が発生した。阪神淡路大震災とほぼ同じ規模の地震だそうな。震源地が熊本県直下型で、比較的浅かったため、津波の比較的小さいのは幸いだった。

この記事を見る頃にはすでに、地震を体感していない人でもニュース等の情報を見て知っている人が多いことだろう。地震が起きた後は、周りも大騒ぎして、様々な情報が錯綜していた。そこで今回は、熊本地震が発生した時の周囲の人々の反応について思ったこと、震災時に本当に必要な事をこの記事で話そうと思う。

何故なら地震への対応、情報への対応について、筆者が大きく疑問に思ったことが幾つもあったからだ。

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情報の真偽は常に確かめろ

Twitterを初め、この手の災害が起きた後、情報が広がるのは非常に早い。みんな、地震への関心が高いために、情報をいち早く確認しようと思う需要がそこにあり、情報発信側もみんなにたくさん見てもらおうと思う供給も大きくなる。だから、地震に関する情報の閲覧数も、情報発信数も平時より圧倒的に増えやすい。

だからこそ、情報の真偽を確かめる必要性も必然的に上がると言える。

デマや嘘の作り上げた情報も拡散しやすい傾向にあると思う。発信側は面白半分に、注目してもらおうとしてすることが多いが、それだけでなく、本当だと信じこんで情報を発信してしまうケースもあるので、一概にどこまでその人が悪いか判断することは難しいかもしれない。

しかし、情報を発信する場合に考えてほしいことがある。デマ情報を流す時、発信側本人は面白半分で大したことないと思っているかもしれないが、その情報を多くの人が信じこんでしまって、取り返しがつかなくなることもある。話が大きくなればなるほど、嘘だと発覚した時のダメージも大きくなるだろう。その時に自分の社会的地位が脅かされる覚悟があるのなら、自己責任でしてもらって結構だが、そういう覚悟も無いならば、安易に面白半分でデマ情報を流すことは厳に慎むべきである。本当に必要な情報がみんなに伝わり辛くなる要因になっているのも大きい。

筆者も先のことまで想定できずに発言をしてしまうことがあり、そのことで自分の首を絞めて閉まっていた。病院勤務で何度も経験してしまった苦い思いは今でも忘れていない。自分の何てこともない発言一つであっても、その話を聞いた相手及びその家族からすれば、人生に影響してしまうようなことすらあった。表現の自由が憲法で保障されているが、発言の責任は持たなければならないのだ。

また、嘘だと知らずに発信してしまった側も、その情報の真偽を確認することもせずしてしまうこともまた、大いに問題があると言える。情報の発信が早いと言うことは、情報内容の吟味も不十分な可能性は十分あるので、信憑性に乏しいケースも増えてくる。特にネットから発信された情報は、ソースが不十分であるのならば、その情報を拡散することに対して慎重にならなければいけない。

熊本地震にて、ある一つの情報から、拡散してしまったケースを紹介しよう。
※このブログから特定出来ないように画像編集しています。

マンション割れTwitter

3万以上ものリツイートが瞬く間にされた画像付きのTwitter。見た目も衝撃的で、構造自体に問題があるのではないかと、思う人が多数いるのも仕方がないであろう。そして凄まじい勢いで拡散してしまったのである。しかし、この構造、すでに指摘している人、分かっている人もいるが、この切り離された部分は、エキスパンションジョイントと言って、L字やコの字の建物の接合部分に地震時のエネルギーが集中しないように、意図的に緊結させずに繋いだ構造物だそうな。

なお、この画像を投稿してしまった本人は、マンションの構造を批判するために投稿したわけではないとの釈明もあり、多数の人に指摘された後は謝罪・反省があった。投稿の削除もされており、これ以上誤解を招いたまま拡散されると言うことは無いだろう。

  • エキスパンションジョイントの図。この部分は、地震などで無理な力が入り過ぎないように、ある程度の隙間があり、緩めに接続されている。

エキスパンションジョイント

投稿してしばらくした後、問題点に気づき、謝罪もされたが、一度広がった情報を無かった事にするのは不可能だ。もしも、上記Twitterの投稿を見て誤解したままの人がいれば、この記事をみてその誤解を解いて頂ければ幸いである。

しかし、問題点はこれだけでは済まなかった。ネットであり尚且つ速度性もあるTwitterからも特ダネの記事を求めてマスコミがこぞって投稿した本人へコンタクトを取ろうと群がってきたのだ。

  • 投稿者本人へ群がってくるマスコミたち

マスコミ3

マスコミ

マスコミ2

  • 放送されるマンション

マンション割れマスコミ2

マンション割れマスコミ

なお、テレビで放送されたこのマンション、エキスパンションジョイントのことに少し触れたものもあるらしいが、案の定、マンションの構造に問題があるかのように、視聴者を煽る放送が目立った。これを視聴して誤解する人たちは、ますます増えていき、それは止まることを知らないだろう。最もこれはマスコミそのものにも大きな問題点がある。災害の情報の需要は非常に高いので、ネタとなる災害の情報があれば、こぞって真偽関係なく放送するケースが多々ある。

だからこそ、視聴者のみんなが情報の真偽を確かめる必要があるのだ。このことをメディアリテラシーという。ネット全盛期の時代、メディアリテラシーは非常に重要だ。これはマスコミメディア関係に限った話ではない。ネットには情報が溢れており、それを見極める力は常に必要だ。その情報に自分自身が躍らされることがないように、見極める力を養っていこう。

地震が起きた時の対処法

こういう情報こそ、もっともっと広まるべきだろう。自分自身に何時降り掛かってきてもおかしくないのだ。そこで、実際の対処法を、筆者が考えうる限りではあるがこれから解説していこうと思う。

まず災害に直面した時、直感だけで動くのは止めよう。根拠無く感覚だけで対処しようとすると大抵失敗する。何故なら、人間はひとえに知恵で生き残った歴史があるからだ。これは逆に言えば、本能の類が他の生物と比較して殆ど役立たずだったとも言える。だから、計画や考えも無しに直感だけで動くのは大変危険である。そうならないためにも、対処方法を事前に用意し、しっかり先も見据えて災害に対処する必要があるのではないだろうか。そこで、必要な事項を優先度も踏まえてこれから記載していくことにする。そうすれば、考えなく動くよりもずっと生き残る可能性は高くなるだろう。

第一に安全な場所の確保

地震に直面したら、まず何よりも優先すべき事項。命に関わる場合は尚更だ。冷静に先のことを考える猶予を作るためにも、今現在の状況が安全で無ければお話にならないのだ。

例えば家の中で遭遇したなら、物が落ちてくる場所は避ける。テーブルの下や近くに落ちる物がない所へまずは行こう。

タンスや食器棚は耐震の準備をしているか。していないのならば倒れて下敷きになる可能性も十分高い(実際、阪神淡路大震災の時は家具の下敷きになったケースが多かったそうだ)。特に就寝時にタンス等が近くにあると危険度は跳ね上がる。タンスが倒れない用に家具転倒防止の補装具を設置するなどして備える必要があるだろう

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屋内だろうと屋外だろうと、窓の近くは危険だ。大きな地震に遭遇した場合、割れたガラスが降り注ぎ、怪我となる可能性が高い。窓ガラスへは近づかないほうが良いだろう。

ガス、ストーブなどの火は止めているか。止めていないと火事に直結する。しっかり止めておこう。ちなみに、地震によって起きた火事は、火災保険が効かないので要注意だ(火災保険は賃貸住宅に住んでいる人なら大多数が契約しているはず)。

海の近くに住んでいるのなら、津波の危険性を常に想定しておこう。ネットや携帯からの速報で分かる場合もあるが、その情報が常に、津波により早く届くとは限らない。特に巨大な地震に遭遇した場合は、高台へ真っ先に非難しても良いだろう。もし津波の危険性が全く無くて徒労に終わったとしても、逆のパターンよりはずっとマシなはずだ。
近くのマンションなどでも良いから、とにかく高いところへ目指そう。

第二に水、食糧の確保

安全な場所がひとまず確保できてから、水・食糧の確保に移る。水分が一切補給出来なければ3日で人は死ぬとされる。食糧は体格差によるが、水があっても3週間~1ヶ月程度で死ぬとされる。水・食糧をいかに確保するのかは重要なことだ。災害時は、自衛隊などが、炊き出しや食糧の配布を行ってくれることも多い。こういうことは積極的に活用したい所。

長持ちする食糧を家に備えておくのも良いだろう。ただし、みんな大好き(筆者も大好き)カップラーメンは実はサバイバル食品としては全くオススメできない。何故なら、『お湯』が必要だからだ。水はただでさえ貴重なのに、ことライフラインが途絶えた災害時の状況では、お湯の貴重度は凄まじい。お湯がなければ食糧として機能しないカップラーメンはお世辞にもサバイバル食品とは言えないだろう。缶詰などは保存も効きオススメできる食糧だ。

  • 特にツナ缶などのように油が入っているものであれば、非常用の明かりにも出来る。何とも素晴らしい食糧ではないか。

第三に精神的余裕の確保

例えいくら、安全な場所があり、食糧や水が確保出来たとしても、精神的余裕が一切無ければ、人は絶望してしまう。特に長期的な膠着状態が続くと、その傾向は強まっていく。そうならないためにも娯楽の獲得へ向けて邁進するのも良いだろう。また、『仲間がいる』ということは、非常に重要だ。極限状態の時は、一人でいるよりも、仲間がいるだけで、精神的余裕は全く違ってくる。一人では打開困難な状況でも仲間がいれば、打開できる可能性があるし、仲間と話し合うだけで、かなり気も紛れてくれることだろう。

災害時に、仲間がいるだけで、一人の時よりも生存する確率は飛躍的に上昇すると言われているのはこのためだ。仲間がいると安心すると言うのは、人間の本能であるのだが、数少ない、当てになる本能と言えよう。

以上で考察・解説を終わらせていただく。

本当に必要な情報、正しい情報を見つけ出すことは難しいことも多いが、情報を鵜呑みにしないだけでも、大分違ってくるはずだ。情報の真偽を確かめる習慣を付けることは、今後の人生においてもきっとプラスとなるはずだ。

筆者のブログも可能な限り、信憑性に乏しいことがないように、努めていきたいと思う次第だ。